Googleスプレッドシート入門② – データ分析の基本(フィルタ・ピボット・グラフ)

📚 このコンテンツで学べること
1. フィルタとソートを使って、データから「見たいものだけ」を取り出せる
2. ピボットテーブルで、関数なしでクロス集計を作れる
3. グラフを使って、データの「何が起きているか」を一目で伝えられる

所要時間: 35分 難易度: 中級 種別: テキスト + ハンズオン


目次

はじめに

GW-7では関数を使って「計算を自動化する」ことを学びました。しかし、業務の現場でスプレッドシートに期待される仕事は、もう一つあります。それは「データから何かを読み取る」こと、つまりデータ分析です。

1000件の販売データがあるときに、「どの商品が一番売れたか」「何曜日が販売が多いか」「赤字の取引はどれか」を高速に取り出したい。これを関数だけでやろうとすると、集計表をたくさん作らないといけません。しかし、フィルタピボットテーブルを使えば、同じことが数クリックでできます。

このコンテンツでは、フィルタ・ソート・ピボットテーブル・グラフの4つの道具を学びます。ハンズオンでは、GW-7で作った雑貨店販売データをそのまま使って、「どのカテゴリがいつ一番売れたか」をグラフで見える状態まで仕上げるところまで進みます。


1️⃣ データ分析の4つの道具

Googleスプレッドシートには、データを見るための主要な道具が4つあります。それぞれ「どんなときに使うか」を押さえると、適切な道具を選べるようになります。

ソート —— 「並べ替える」

データを「金額順」「日付順」などに並び替え、「上位/下位を見たい」ときに使います。

フィルタ —— 「見たいものだけを表示」

条件にあうデータだけを表示し、それ以外を一時的に隠します(消さない)。「文具カテゴリだけ」「4月1日以降だけ」という絞り込みに使います。

ピボットテーブル —— 「クロス集計する」

「カテゴリ×月別」「担当者×取引先」のように、2つの軸をクロスさせて集計表を作ります。関数を書かずに複雑な集計ができる、データ分析の主役。

グラフ —— 「見せて伝える」

集計したデータを棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフにして、一目で伝えるようにします。資料やレポートで使うのはこれです。

💡 ポイント: 「並び替える」「絞る」「集計する」「見せる」、というステップで進めるとデータの見通しがスムーズです。逆に、いきなりグラフを作ろうとしても、集計ができていなければグラフにできません。


2️⃣ ソートとフィルタ

ソート(並び替え)

ソートには3つのパターンがあります。

パターンA: 一時的なソート

  1. データ範囲(見出しを含む)を選択
  2. メニュー「データ」 → 「範囲をソート」
  3. 「データにヘッダー行が含まれています」にチェックを入れる
  4. 「並び替え」ダイアログで、「金額 / 降順(Z→A)」と選択して「ソート」

データそのものが並び替わるため、元の順番は失われます。順番を戻したければ、日付で再度ソートします。

パターンB: フィルタと併用するソート(推奨)

フィルタを作ると、フィルタボタンごとにソートもできます。元データを並び替えずに、表示だけソートされるため、こちらが業務ではオススメ。

パターンC: SORT関数で別シートにソート

=SORT('生データ'!A2:F100, 6, FALSE)
→ 生データを、F列(金額、左から6列目)で降順ソート

元データをいじらずに、「ソート済みコピー」を別シートに作りたいときに便利。

フィルタ(絞り込み)

フィルタを作っておくと、見たいデータだけを一瞬で表示できます。

フィルタの作り方

  1. データ範囲(見出しを含む)を選択
  2. メニュー「データ」 → 「フィルタを作成」
  3. 見出し行に三本線のフィルタアイコンが表示される

フィルタでできること

フィルタアイコンをクリックすると、以下のことができます。

[並べ替え]    → この列をソート(データは並び替えられる)
[色でフィルタ] → セルの背景色で絞る
[条件で絞る]   → 「10000以上」「『AA』を含む」など
[値で絞る]     → 一覧から見せたい値にチェックを入れる

フィルタで見えているデータだけを使う関数

フィルタで絞った状態で SUM を使うと、見えていないデータも含めて合計されてしまいます。「表示されているものだけ」を集計したいときは SUBTOTAL 関数を使います。

=SUBTOTAL(9, F2:F100)
→ フィルタで表示中のデータのみを合計
   (9 = SUM, 1 = AVERAGE, 2 = COUNT, 3 = COUNTA)

3️⃣ ピボットテーブル

データ分析の主役ともいえる機能。ちゃんと使えるようになると、関数だけだと一苦労な集計作業が10クリックで終わります。

ピボットテーブルの考え方

ピボットテーブルは、「何を軸(行)・列・値にするか」を指定して集計表を作る機能です。

「カテゴリ別・日付別の売上」を見たいとしたら:
  行    → カテゴリ(文具 / キッチン / 雑貨)
  列    → 日付(4/1, 4/2, 4/3...)
  値    → 金額の合計

データがひっくり返されて、集計表になるイメージです。だから「ピボット(pivot=軸・回転)」と呼ばれます。

ピボットテーブルの作り方

  1. データ範囲(見出しを含む)を選択
  2. メニュー「挿入」 → 「ピボットテーブル」
  3. 「新しいシート」を選択して作成
  4. 右サイドの「ピボットテーブルエディタ」で軸を設定:
[行]   「追加」をクリック → 「商品カテゴリ」を選択
[列]   「追加」をクリック → 「日付」を選択
[値]   「追加」をクリック → 「金額」を選択し、集計方法を「SUM(合計)」に

ピボットテーブルの魅力

一度作れば、簡単に軸を入れ替えられるのがピボットテーブルの他に代えがたい魅力です。

  • 「カテゴリ×日付」 → 「カテゴリ×週」に変える
  • 「金額の合計」 → 「件数の合計」「金額の平均」に変える
  • 行と列を入れ替える

これらを関数でやろうとすると、都度計算シートを作り直さないといけません。ピボットテーブルならドラッグ&ドロップで一瞬です。


4️⃣ グラフ

集計したデータを見せて伝えるための道具。グラフの選び方を間違えると、逆に誤解を生んだり何も伝わらなかったりします。

代表的な4つと使いどころ

[棒グラフ]         → カテゴリごとの量を比べる
                    (例: 商品別売上、部門別人員)
[折れ線グラフ]     → 時間の変化を追う
                    (例: 月別売上推移、アクセス数の推移)
[円グラフ]         → 全体に占める割合を見せる
                    (例: シェア、費用項目の内訳)
[積み上げ棒グラフ] → カテゴリごとの内訳と合計を同時に
                    (例: 部門別コストとその内訳)

グラフの作り方

  1. グラフにしたいデータを選択(ピボットテーブルをそのまま選択してもよい)
  2. メニュー「挿入」 → 「グラフ」
  3. 右サイドの「グラフエディタ」でグラフの種類とデータ範囲を調整

見やすいグラフの3原則

原則1: タイトルで「何が見えるグラフか」を記載

  • NG: 「販売データ」 → 何のデータかわからない
  • OK: 「2026年4月 カテゴリ別販売金額」 → 見えるものが明確

原則2: 軸ラベルに単位を記載

  • NG: 軸を「金額」とだけ記載 → 円かドルか不明
  • OK: 「金額(円)」と記載 → グラフだけ見てもスケールが分かる

原則3: 色を使いすぎない

色を使いすぎたグラフより、モノクロ(同色の濃淡)のほうがビジネスでは見やすい。複数カテゴリを区別したいときは、主役のカテゴリだけ色付き、他はグレー、とすると伝わりやすいです。


5️⃣ やってはいけないこと・注意点

NG1: ソートで生データを並び替える

ちゃんとバックアップを取らずに、生データを「金額順」にソートしてしまうと、「入力順」や「日付順」の元の順番が完全に失われます。隣接したデータ関係(例: Aさんの購入の次に同じタイミングでBさんが購入した)が読み取れなくなります。ソートはフィルタ・ピボットテーブル・SORT関数で、生データに手を入れずに行うのが原則です。

NG2: フィルタを表示したまま他の人に共有

フィルタで「文具」だけ表示した状態で他の人にスプレッドシートを見せると、その人も同じフィルタ状態で見ることになります(「フィルタ」を使った場合)。「フィルタビュー」を使うと、個々人ごとにフィルタ状態を保てるので、共有するときはフィルタビューを作るか、フィルタを一旦クリアしてから共有する、を原則にします。

NG3: グラフを記載しただけで「説明」にしてしまう

グラフは「見せる道具」であって、「何が読み取れるか」を伝えるのは人間の役割です。レポートや資料にグラフを記載する際は、必ず「このグラフから読み取れること」をひとこと記載しましょう(例: 「キッチンコーナーが高単価・高金額、文具コーナーが低単価・高頻度」)。


🛠 ハンズオン課題: 雑貨店データをピボットとグラフで分析

ここからは実際に手を動かす時間です。所要時間: 約15分

📋 ゴール

  • GW-7で作った20260427_雑貨店販売分析 スプレッドシートをそのまま使う
  • フィルタ、ピボットテーブル、グラフを順番に作り、「どのカテゴリがいつ一番売れたか」を読み取れる状態にする

Step 1: データを追加してサンプルを充実(2分)

GW-7のデータは10件しかないので、以下のデータを 「生データ」 シートの下(A12以降)に追加します(F列の金額関数もコピーして下に伸ばす):

2026/04/06  文具  ノート 30  220
2026/04/07  キッチン    マグカップ   8   1200
2026/04/07  雑貨  タオル 12  800
2026/04/08  文具  セロテープ   25  180
2026/04/08  キッチン    スプーン    15  450
2026/04/09  雑貨  キャンドル   6   1500
2026/04/09  文具  ボールペン   40  150
2026/04/10  キッチン    マグカップ   10  1200
2026/04/10  雑貨  キャンドル   8   1500

Step 2: フィルタを作る(3分)

  1. 「生データ」シートでA1セルをクリック
  2. メニュー「データ」 → 「フィルタを作成」
  3. 「商品カテゴリ」列のフィルタアイコンをクリック
  4. 「すべてをクリア」をクリックし、「文具」だけチェックを入れる
  5. 「OK」をクリック → 文具データだけ表示される
  6. 一度フィルタをクリアして、全件に戻す

Step 3: ピボットテーブルを作る(7分)

  1. 「生データ」シートでA1セルをクリック
  2. メニュー「挿入」 → 「ピボットテーブル」
  3. 「データ範囲」は自動で画面全体が選択されているのを確認し、「新しいシート」を選択 → 「作成」
  4. 新しいシートで右サイドに「ピボットテーブルエディタ」が表示される
  5. エディタで以下を設定:
    • : 「追加」クリック → 「商品カテゴリ」を選択
    • : 「追加」クリック → 「金額」を選択(集計: SUMがデフォルト)
    • : 「追加」クリック → 「商品名」を選択(集計: COUNTAを選択 → 件数集計になる)
  6. カテゴリ別の「金額合計」と「件数」が並ぶ集計表が完成
  7. シート名を「ピボット」に変更

Step 4: グラフを作る(3分)

  1. 「ピボット」シートで、カテゴリ名と金額合計の部分を選択(3カテゴリ×2列 = 6セル + 見出し)
  2. メニュー「挿入」 → 「グラフ」
  3. デフォルトで棒グラフが作成されるのを確認
  4. 右サイドの「グラフエディタ」で「設定」タブを選択
  5. グラフのタイトルを「2026年4月 カテゴリ別販売金額」に変更
  6. どのカテゴリが一番売れているか一目でわかる状態になる

✅ 完成チェックリスト

  • [ ] 生データシートを拡充した(計約19件)
  • [ ] フィルタで「文具カテゴリだけ」を表示した
  • [ ] ピボットテーブルでカテゴリ別の金額合計と件数を出した
  • [ ] ピボットからグラフを作成した
  • [ ] グラフのタイトルを「何が見えるグラフか」わかるものに変更した
  • [ ] スプレッドシートに「生データ / 集計 / ピボット」の3シートができている

💡 つまずきポイント

Q: ピボットテーブルにデータを追加したのに反映されない
→ ピボットテーブル作成時の「データ範囲」が、追加したデータまでカバーしていない可能性。ピボットシートで右サイドエディタ上部の「データ範囲」をクリックして、'生データ'!A:F のように列全体を指定すると、以降のデータ追加にも自動で対応します。

Q: ピボットテーブルの「集計」が「COUNTA」や「SUM」以外も選べる?
→ 選べます。「AVERAGE(平均)」「MAX(最大)」「MIN(最小)」「MEDIAN(中央値)」など、複数の集計方法から選べます。「金額、集計SUM」と「金額、集計AVERAGE」を同時に並べれば、カテゴリ別の合計と平均を一気に見られます。

Q: グラフが思い通りに表示されない
→ グラフエディタの「設定」タブで「グラフの種類」をやり直す。棒グラフ/折れ線グラフ/円グラフなど、5種類以上あります。さらに「X軸」と「系列」も見返します。「『X軸』がカテゴリ名、『系列』が量」になっているかを確認。


✅ まとめ

  • データ分析の4つの道具: ソート(並べ替え) / フィルタ(絞る) / ピボット(クロス集計) / グラフ(見せる)
  • ソートは生データをいじらずにフィルタ・SORT関数・ピボットテーブルで行うのが原則
  • ピボットテーブルは行×列×値で軸を指定、入れ替えもドラッグ&ドロップでスムーズ
  • グラフはタイトル・軸ラベル・色使いの3原則を踏まえる
  • ハンズオンでフィルタ→ピボット→グラフのステップを体験 → 今後データを見るときの型が手元に残る

📌 実務ポイント: キャリア・現場でどう活きるか

データ分析スキルは、業種を問わず「人が見る代わりにデータに語らせる人」として評価されるスキルです。「感覚でしゃべる人」と「データで語る人」とでは、信頼されるのは明らかに後者です。

選考・面談で: 「現状を分析して提案した経験は?」と聞かれたとき、「ピボットで部門別・月別のコストを分析して、予算超過チームを特定しました」と語れると、「根拠を持って説明している人」と評価されます。

入社・配属後で: 多くの職場で、「データを見て、見えるものを説明する」業務が現場で任されます。ピボットとグラフを使えると、上司やチームリーダーに「見える形で提示」して議論するときに、スクリーンショットで共有できるため、会議で「見える人」ポジションを取れるようになります。

データドリブンな面で: 提案・レポート・企画書など、なんでも「データに裏付けされた」語り口がより説得力があります。スプレッドシートでサッと集計できるようになると、「だと思う」から「データでも説明されている」という業務スタイルにシフトします。これは「思考の質」そのものを上げます。


さらに学ぶには

  • 次のコンテンツ「Googleカレンダー活用術」では、今度はスケジュール管理の視点でデータの見える化を学びます
  • 同カテゴリの「Geminiと連携するGoogle Workspace」(GW-13)では、このスプレッドシートに対してAIで「サマリーを作って」と頼めるためのスキルを学びます
  • AI・デジタル活用の「ChatGPTを使った業務効率化入門」は、「このデータから何が読み取れるか」をAIに考えてもらうスキルを提供します
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