📚 このコンテンツで学べること
1. Slackワークフローとは何かを押さえる
2. 「自動化できる業務」を見極める眼を身につける
3. シンプルなワークフロー(フォーム付き)を作る
所要時間: 30分 難易度: 中級 種別: テキスト + ハンズオン
はじめに
Slackをコミュニケーションツールとして見てきましたが、Slackにはもう一つの顔——「業務ハブ」としての顔があります。
チームで以下のような「定型業務」はないでしょうか。
- 週次で、チームメンバーに進捗報告を促す
- 新しいメンバーがチームに加わったときに、オンボーディング資料を送る
- 顧客からの問い合わせをチャンネルに転送し、担当者を振り分ける
こういう作業は、Slackのワークフローや他サービスとの連携で自動化できます。チームコストを大きく下げ、メンバーをクリエイティブな仕事に集中させられます。
1️⃣ ワークフローとは
ワークフローは、Slack内で「トリガー(きっかけ) → ステップ(動作)」という流れを作り、自動で動かす仕組みです。プログラミング不要で、GUIで設定できます。
トリガー(起動ケース)
・ スケジュール 月曜 10:00 などの指定時刻
・ ショートカット サイドバーのショートカットボタンで手動起動
・ 新規メンバー参加 チャンネルに新規メンバーが加わったとき
・ 絵文字リアクション メッセージに 🎯 を付けたとき
ステップ(動作)
・ チャンネルにメッセージを送信
・ DMを送信
・ フォームを表示(ユーザーに項目を記入してもらう)
・ Canvasを作成
・ 他サービスを呼ぶ(Google Sheets, Asana, Jira など)
ワークフローの例
[例1: 週次スタンドアップ]
トリガー: 月曜 10:00 (スケジュール)
ステップ: チームチャンネルに「今週の主要タスクをスレッドで」メッセージを送る
[例2: オンボーディングロボット]
トリガー: 新規メンバーが #general に参加
ステップ: そのメンバーにDMでオンボーディング資料とチームCanvasリンクを送る
[例3: 物品申請]
トリガー: #procurement でショートカットボタンをクリック
ステップ: フォームを表示 → 記入内容を #procurement-requests に送信
2️⃣ ワークフローの作り方
作成手順
- 左サイドバー上部の「他」 → 「自動化」をクリック
- 「新しいワークフロー」ボタンをクリック
- トリガーを選択(スケジュール/ショートカット/リアクションなど)
- ステップを順に追加
- 名前をつけて公開
シンプル例: 週次スタンドアップ
[トリガー] スケジュール (月曜 × 10:00)
[ステップ] チャンネルにメッセージを送信
チャンネル: #proj-A社
メッセージ例:
【週次スタンドアップ】
以下をスレッドで教えて下さい:
・ 今週の主要タスク(2-3点)
・ ブロッカーもしくは助けがいること
・ コンディション (🟢調子グッド / 🟡限界 / 🔴重要)
一度作っただけで、何年もスタンドアップがコストゼロで回るようになります。
フォームステップを使う
「フォームを会話で表示」ステップを使うと、ユーザーに項目を揃えて記入してもらうことができます。
[フォームフィールドの例]
・ 項目名 (ショートテキスト ・ 必須)
・ 選択肢 (選択肢: A / B / C)
・ 期限 (日付)
・ 詳細 (長めテキスト)
フォーム提出後のステップで、フィールド内容をチャンネルに反映させる、DMで送る、Sheetsに保存、などができます。
3️⃣ 「自動化できる業務」を見極める眼
全てのタスクをワークフローにする必要はありません。「自動化の価値が出る業務」を見極める眼をもちましょう。
ワークフロー化に適した業務
〇 頻繁に繰り返される(週次・月次)
〇 手順がほぼ同じステップで進む
〇 人をもりとりしている「受付」・「振り分け」
〇 「あるある」型のリクエスト(物品、会議予約、休暇申請、障害報告など)
ワークフロー化に不適切な業務
× 状況に応じて人間の判断が入るもの
× 複雑な会話やニュアンスを伴うもの
× 一回限りの作業
× 作成コストに見合わない使用頻度しか見込めないもの
ワークフロー化しやすい業務例
- チーム運営: 週次スタンドアップ、週次振り返り、オンボーディング
- 人事・労務: 休暇取得申請、面談スケジューリングリクエスト
- 購買・物品: 物品申請、顧客対応タスク振り分け
- テクノロジー: 障害インシデントレポート、コードレビュー依頼振り分け
4️⃣ Slackと他サービスとの連携
Slackの真価は他サービスとの連携で発揮されます。
連携ツールの主なタイプ
[公式インテグレーション]
Google Drive / Notion / GitHub / Asana / Trello / Jira
Google Calendar / Salesforce / HubSpot など
[自動化ツール]
Slackワークフロー / Zapier / Make
連携でできることの例
[Google Drive連携]
Driveリンクを貼る → タイトル・表示スクリーンショットがプレビュー
ドキュメントにコメント → Slackに通知
[GitHub連携]
PR作成 → #dev チャンネルに送る
コードレビュー・コメント → スレッドで送る
[Google Calendar連携]
会議開始5分前 → チームチャンネルにリマインダー
会議中 → Slackステータスを「📅 会議中」に自動設定
連携を始める手順
- 左サイドバー上部の「他」 → 「アプリ」
- Slackアプリディレクトリで連携したいサービスを検索
- 「インストール」をクリック
- OAuth認証と許可項目を確認して許可
- チャンネル選択や通知設定を設定
⚠️ 企業セキュリティポリシー: 企業ワークスペースでは、Slackアプリのインストールに管理者許可が必要な場合があります。「インストール許可をリクエスト」ボタンで依頼しましょう。
5️⃣ やってはいけないこと・注意点
NG1: とりあえずワークフローを作ってしまう
明確なコスト削減効果が見えないワークフローは、トリガーされるたびにチームにノイズを送るツールになりかねません。「この作業、週次で約××分掛かっている」という明確なコストが見える業務から始めましょう。
NG2: オーナーを明確にせず「誰かが作った」ワークフローを放置
ワークフローも「保守」が必要です。人事異動、チームルール変更、組織変更に応じて見直しが必要です。オーナーを明確にし、複数メンバーを協力者に加えてチームとして保守しましょう。
NG3: 個人情報を含むフォームを、セキュリティ考慮なく作る
フォームで個人情報(電話番号、住所、口座番号など)を収集して公開チャンネルに流すと、チーム全員に見えてしまいます。送り先を限られたチャンネル、もしくは担当者へのDMにしましょう。
NG4: 他サービス連携の許可項目を確認せず許可してしまう
Slackアプリインストール時に表示される「許可項目」は、ちゃんと読みましょう。「すべてのチャンネルを読む」「すべてのメッセージを読む」という許可項目は、セキュリティ上のリスクを理解したうえで許可するようにしましょう。
🛠 ハンズオン課題: シンプルなワークフローを作る
所要時間: 約10分
📋 ゴール
- テストチャンネルで、進捗報告フォームを送るワークフローを作る
- ショートカットボタンで起動し、フォーム記入内容をチャンネルに反映させる
Step 1: ワークフローを作る(2分)
- 左サイドバー上部の「他」 → 「自動化」をクリック
- 「新しいワークフロー」ボタン
- ワークフロー名: 「【自分の名前】の進捗報告テスト」
Step 2: トリガーを設定(2分)
- 「ショートカット」を選択(スケジュールだとテストしにくいため、手動起動で試します)
- トリガー名: 「進捗報告を送る」
- 表示チャンネル: テストチャンネル
Step 3: ステップを追加(フォーム)(3分)
- 「ステップを追加」 → 「フォームを会話で表示」を選択
- フォームタイトル: 「今週の進捗を教えて下さい」
- フィールドを3つ追加:
– 今週主要タスク (長めテキスト ・ 必須)
– コンディション (選択肢: 🟢調子グッド / 🟡限界 / 🔴重要)
– ブロッカー (長めテキスト ・ 任意)
Step 4: ステップを追加(チャンネルに送信)(2分)
- 「ステップを追加」 → 「チャンネルにメッセージを送信」
- チャンネル: テストチャンネル
- メッセージ(フィールド名をクリックして参照させる):
【進捗報告】
今週主要タスク: 【フィールド参照】
コンディション: 【フィールド参照】
ブロッカー: 【フィールド参照】
Step 5: ワークフローを公開して試す(1分)
- 「保存と公開」ボタンをクリック
- テストチャンネルに戻る
- チャンネル下部の「ショートカット」ボタン(雷アイコン)をクリック
- 「進捗報告を送る」ワークフローを選択
- フォームに試しに記入して送信
- チャンネルに記入内容が表示されることを確認
✅ 完成チェックリスト
- [ ] ワークフローを作った
- [ ] トリガー(ショートカット)を設定した
- [ ] フォームステップを3フィールド付きで作った
- [ ] チャンネルメッセージ送信ステップでフィールドを参照させた
- [ ] ショートカットボタンで起動し、チャンネルにフォーム記入内容が表示されたことを確認した
✅ まとめ
- ワークフローは「トリガー → ステップ」の流れをGUIで設定できる
- シンプルだが効果の高いワークフロー: 週次スタンドアップ / オンボーディング / フォームリクエスト
- フォームでチームを煩わせず見えるプロセスを作れる
- ワークフロー化の判断軸: 頻繁に繰り返される / 手順が同じ / 人をもりとり / 「あるある」リクエスト
- SlackはGoogle Drive・Notion・GitHub・Asana・Calendar・Salesforceなどと連携できる
- NG: とりあえず作る / オーナー不明 / 個人情報を公開チャンネルに / 連携アプリ許可を確認せず許可
📌 実務ポイント: キャリア・現場でどう活きるか
ワークフローと連携を使いこなせる人は、「チームの定型業務を設計、自動化してコストを下げる人」として評価されます。
選考・面談で: 「これまでチームの生産性を上げた例を教えて」という質問に、「チームの週次スタンドアップをSlackワークフローで自動化し、進行コストを3割削減しました」と語れる人は、「とりあえずやる」ではなく「コストと効果を見ている人」と評価されます。
入職・配属初期で: チームですでにワークフローが動いているなら、そのトリガーとステップを読んで「チームは何を自動化し、何を人間がやっているか」を読み取れます。さらに「この作業もワークフロー化できるのでは?」と提案できる人は、チームに一歩踏み込んだ貢献をしてオンボーディングを加速させます。
リーダーとして: リーダー職は「チームの業務オペレーションを設計する」人です。ワークフローと連携を使いこなせるリーダーは、チームコストを下げ、メンバーをクリエイティブな仕事に集中させることができます。ワークフローは一度作ったらずっと動くため、レバレッジの高い仕事です。
